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「フェアトレードとSDGs」違いと共通点をわかりやすく解説

公開日:2023年06月15日

公平・公正な社会、持続可能な社会の実現に向けて、「フェアトレード」と「SDGs」が注目され、両者は現代のビジネスと個々の生活スタイルの中でますます重要な位置を占めています。しかし、これら二つの概念は、しばしば混同されたり、その違いや相互の関連性が理解されていないことがあります。この記事では、「フェアトレード」と「SDGs」の違いと共通点を比較しながら、わかりやすく解説します。また、私たち企業との関わりなど、ビジネスパーソン向けにまとめていますので、フェアトレードとSDGsの全体像を掴む手助けとなるでしょう。

はじめに

まずは「フェアトレード」と「SDGs」の違いや共通点を抑え、その上で、それぞれがどのように世界をより良くするための手段となっているのか、その具体的な役割は何かを知ることが大切です。

双方の理解が深まることで、企業や団体がどちらを選択すべきかなどが明確になり、より効果的に社会的責任を果たす方法を見つけることができるようになるはずです。

フェアトレードとは?

 

フェアトレードの起源と目的

フェアトレードは、主に開発途上国の農家や労働者など生産者が、公正な取引条件で製品を販売できるようにする運動や活動を指します。

その起源は、第二次世界大戦後の復興期にさかのぼり、1940年代後半から1950年代にかけて、いくつかの宗教団体が途上国の生産者を支援するために開始したプロジェクトであったと言われています。その後、現代のフェアトレードという概念が広く認識されるようになったのは1980年代以降で、フェアトレード認証マークが導入され、一般消費者に対してフェアトレード商品を識別する手段を提供したことで、フェアトレードは大きく普及しました。

フェアトレードの原則

フェアトレードは、全世界の生産者が、公正な報酬を得て、持続可能で尊厳ある生活を営めるようにするための手段です。その根底にはいくつかの原則があり、公正で持続可能な取引を推進するための基本的なフレームワークとなっています。

・公正な価格
 フェアトレード製品は、生産者に公正な報酬を保証するために公正な価格で取引されます。

・公正な労働条件
 安全で健康的な労働条件を推進し、児童労働や強制労働を禁止します。

・直接的な貿易
 中間業者を介さずに生産者と消費者との間で直接取引を行うことを奨励します。

・持続可能な農法
 農薬の使用制限や水資源の保護等、環境に配慮した農業方法を奨励します。

・コミュニティ開発
 生産者が自分たちのコミュニティを向上させるためのプロジェクトに資金を提供することを奨励します。

フェアトレードの実践例

フェアトレードの理念は、多くの製品やサービスに反映されています。代表的な例はコーヒーやチョコレートなどの商品ですが、家具や衣類、宝石なども含まれます。以下に具体的な例をいくつか挙げてみました。

・フェアトレードコーヒー
 フェアトレードのコーヒーは、一般的なコーヒーと比較すると、価格は高くなるものの、品質、環境への配慮、社会への影響とい う観点から、価格差以上に高付加価値なコーヒーを提供しています。
【参考記事】:「フェアトレードコーヒーとは?通常のコーヒーとの比較を徹底解説」

・フェアトレード・コットン
 フェアトレード・コットンの生産は、化学農薬の使用を制限し、持続可能な農法を奨励することで、環境への影響も最小限に抑えています。

・フェアトレード・ハンドクラフト
 手作りのアクセサリーや家具、衣類など、各地の職人が生産するハンドクラフトもフェアトレードの対象となっており、これらの製品を生産する職人たちは、適切な報酬を得ることができます。これにより、彼らの生活水準を向上させるとともに、地元の伝統的な技術を保護し続けることが可能となります。

これらの実践例からも分かるように、フェアトレードは製品を通じて生産者の生活改善と持続可能な環境の実現を目指しています。

SDGsとは?

SDGsの起源と目的

SDGsは、国際連合(UN)によって2015年に採択された17の目標で、全ての国が経済成長、社会的包摂性、環境の持続可能性を追求するための共通のフレームワークを提供します。これらの目標は、貧困の撲滅、飢餓の終結、健康と福祉の向上、品質の高い教育の普及、ジェンダー平等の達成、クリーンな水と衛生の確保、持続可能なエネルギーの普及など、広範で野心的な問題に対処しています。

SDGsは、前身であるミレニアム開発目標(MDGs)の後継として採択されました。MDGsは2000年から2015年までの期間に、特に最貧国の貧困削減を目指した8つの目標でした。しかし、MDGsが主に開発途上国に焦点を当てていたのに対し、SDGsは全ての国が関与することを前提としています。これは、地球全体の課題に取り組むためには、全ての国が共同で行動する必要があるという認識からです。

SDGsの17の目標

持続可能な開発目標(SDGs)とは、世界全体の問題を解決し、より良い未来を作り上げるために設定された17の具体的な目標です。これらの目標は、社会的な公正、経済的な成長、環境の持続可能性を三つの柱として、全ての国が協力して取り組むべき課題を明示しています。

1.貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに
3.全ての人に健康と福祉を
4.質の高い教育を全ての人に
5.ジェンダー平等を実現しよう
6.安全な水とトイレを全ての人へ
7.エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
8.働きがいも経済成長も
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられる都市を
12.つくる責任、つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう
16.平和と公正を全ての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう

これらの目標は広範で、私たちの生活のあらゆる面をカバーしています。そして、それぞれの目標は互いに関連しているため、一つの目標を達成することが他の目標の達成にもつながります。

SDGsの実践例

多くの企業、自治体、個人がSDGsの目標達成に向けて様々な取り組みを行っています。以下にいくつかの実例を紹介します。

・再生可能エネルギーへの投資
 企業や自治体が太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーへの投資を行っています。これはSDGsの目標7「エネルギーをみん なに、そしてクリーンに」に貢献します。

・女性のリーダーシップの推進
 企業が女性リーダーの育成や女性の役員比率向上を目指す取り組みを行っています。これは目標5「ジェンダー平等を実現しよう」に貢献します。

・地元産品の消費の推進
 地元の農産物や製品を消費することを推進しています。これは目標12「つくる責任、つかう責任」に貢献します。

これらの取り組みは、SDGsの目標が現実の行動にどのように変換されているかを示しています。

フェアトレードとSDGsの違い

フェアトレードとSDGsは、どちらも世界をより良くするための手段であることは間違いありませんが、そのアプローチや焦点は大きく異なります。

SDGsは、国連が採択したものであり、全世界の193の加盟国が持続可能な開発目標達成に向けて取り組んでいます。SDGsは非常に広範で包括的な目標を設定しており、その範囲は貧困の撲滅からクリーンエネルギーの普及、都市の持続可能性まで多岐にわたります。そのため、企業や政府、教育機関、非営利組織など、あらゆる組織・団体が自らの活動と関連するSDGsの目標を結びつけ、取り組んでいます。

一方で、フェアトレードはより具体的な活動領域に集中しており、製品の生産から消費における公正な価格設定や労働条件の改善など、特に開発途上国の生産者を支援するための活動となっています。そのため、主に農産物や工芸品などがSDGsと比較すると、より限定的な取り組みとなっています。

SDGsの方がフェアトレードよりも広範で包括的な枠組みを提供していますが、両者に優劣はありません。次章の共通点と併せて理解することで、その相互関係が見えてきます。

フェアトレードとSDGsの共通点

フェアトレードとSDGsの連携

ぞれが異なるアプローチを持つ一方で、その最終的な目標は共通しており、それはより公正で持続可能な世界の実現です。

また、これらは互いに補完しあう関係にあり、フェアトレードがSDGsの一部の目標に対する具体的なアプローチを提供しています。フェアトレードは、SDGsの目標のうち、特に8つの目標に大きく貢献しています。

一部になりますが、例えば、フェアトレードの原則である、「公正な価格」や「公正な労働条件」というのは、SDGsの目標1「貧困をなくそう」や目標8「働きがいも経済成長も」、目標10「人々の不平等をなくそう」に直接的に貢献しています。

このことから、フェアトレードの取り組みは、おのずとSDGsに取り組み、貢献していることになります。

【参考】:齊藤コーヒーのフェアトレード「SDGsとフェアトレード」

フェアトレードやSDGsに取り組むメリット

フェアトレードやSDGsへの取り組みは、以下のようなメリットが考えられます。

・市場拡大
 フェアトレード製品は、倫理的な消費を重視する消費者からの需要が高まっており、これは新たな市場の機会を生み出しています。 フェアトレードに参加することで、企業はこの成長市場に参入し、新たな顧客層を開拓することができます。

・ブランドイメージの向上
 フェアトレードとSDGsへのコミットメントは、企業のブランドイメージや評判を高めることができます。これは、ESGの盛り上がりにも見られるように、消費者や投資家からの好意的な評価を生み出し、販売や投資の増加につながる可能性があります。

・ビジネスリスクの軽減
 フェアトレードは、サプライチェーン全体に公正な労働条件を確保することを求めます。これにより、供給側の不安定さや労働紛争などのリスクが減少し、ビジネスの継続性が向上します。

・助成金や税制優遇
 フェアトレードやSDGsに関連するプロジェクトは、多くの国や地域で助成金や税制優遇の対象となっています。これは、企業にとって重要な財務上のインセンティブとなりえます。

このようなことから、ただ単に倫理的な選択としてだけではなく、経済的な利益をもたらす戦略的な選択として理解することも大切です。特にフェアトレードはチャリティとは異なり、公正な取引公正・適性な価格で取引することによって、生産者を支援する仕組みですので、お互いが潤い、その関係を継続することが重要です。

まとめ:フェアトレードとSDGsの役割、未来

私たちは、フェアトレードとSDGsの関係を理解し、それぞれの組織・団体にとって最適な手段・方法を選択することにより、より公正で、持続可能な世界を実現するための具体的な行動へと繋がります。

この記事を通じて、フェアトレードとSDGsが私たちの日々の生活やビジネスにどのように組み込まれ、それぞれがどのように世界を形成する重要な役割を果たすのかをご理解いただけたことを願っています。共通の目標に向かって進むために、私たち一人一人がどのようにこれらの取り組みに参加できるか、皆さまご自身で問いかけてみてください。これこそが、フェアトレードとSDGsが連携し、共に未来を創造する最初の一歩となるでしょう。

【参考】
・国際連合広報センター United Nations Information Centre(https://www.unic.or.jp/
・特定非営利活動法人 フェアトレード・ラベル・ジャパン(https://www.fairtrade-jp.org/

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